首都ロンドン中心部のダウニング街、英国首相官邸で働いているネコがいる。肩書は官邸ネズミ捕獲長。れっきとした公務員らしい。ユーモア好きで聞こえた国ならではだが、ものの本によれば、1924年から続く伝統というから、ネズミにはよほどお困りの様子である
現職は雄の「ラリー」。オバマ米大統領が来訪した際、会見の栄に浴したこともある。その捕獲長も、欧州連合(EU)を巡る先月の国民投票で離脱派が勝利し、官邸の主が辞意を表明して以降、気が気でなかったかもしれない。何しろネズミを捕らず、職務怠慢で更迭された過去がある
きょう、キャメロン首相が辞任する。一方、技量に疑問符がつくものの、捕獲長は続投が決まった。新たな雇用主にメイ内相が就く
サッチャー首相に次いで2人目、26年ぶりとなる女性首相には、EUとの離脱交渉という難題が待っている。ネズミ駆除が苦手な分、心の支えにでもなれるかどうか。公務員ラリー、ここは存在感の示しどころだ
さて、あす都知事選が告示される東京も、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが名乗りを上げ、ようやく戦いの構図が固まったようである
政治とカネの問題をかぎ分ける、こちらはイヌでも雇っておかねば、と言いたくなるような事態が続いた日本の首都。五輪を控え、立て直すのは誰か。