謀反には道理があるという。「造反有理」。中国の文化大革命のスローガンで、東大紛争でも若者たちが繰り返し叫んだ言葉だ。だが、支配者と造反者のどちらに理があるかは神のみぞ知るである

米共和党の大統領候補に、過激な発言を続ける実業家のトランプ氏が指名された。反発する一部の代議員は事前に退席し、会場付近では、トランプ氏に抗議する人が米国旗を燃やす一幕もあった

反主流に理ありとばかりに、トランプ氏はついに正統な候補者になった。メキシコとの国境に壁を造る-。放言めいた主張は党大会で政策綱領に採択され、今や立派な公約に

日本への駐留米軍経費の全額負担要求や、環太平洋連携協定(TPP)の「離脱」は綱領に盛り込まれなかったが、油断は禁物だ。何しろ常識的な見方では、先々の言動が予測できない人なのだから

トランプ氏は、社会の建前の下に鬱積した不満を吸い上げて、多くの国民の支持を得た。独特の理に自信もあるのだろう。放言が公約となった今、トランプ氏が次に何を言い出すか。日本の外務省などは戦々恐々としているようだ

「安倍(晋三首相)は頭が切れる。キャロライン・ケネディ(駐日大使)は安倍に飲まされ食わされ、日本の望むことを何でもするようになった」とも語っている。到底、理があるとは思えない。