あれ、駄目なんだ。ノッカーにボールを渡すぐらいのことなのに。高校では、いつもやっていたそうなのに。危険防止と聞けば、あながちつまらないルールとは言えない。しかし、再考の余地はある

 全国高校野球選手権大会で、甲子園練習の手伝いをしていた大分高校の女子マネジャーが大会本部から制止された。女の子だから危ないというのである。選手とともにずっと戦ってきた当の生徒のコメントが切ない。「やっぱり駄目かと思いました」

 話は飛ぶが、随分前、日本でもドメスティックバイオレンスという言葉が広がり始めたころ、先を行く米国では、夫でなく、妻の暴力が問題となっていると耳にした。たくましい米女性だから「さもありなん」と納得したが、思い返せば、いかにも偏見

 石のように硬いボールを投げて打つ硬式野球である。安全第一。それは分かる。だから男だけとは「草食」はびこる今どき、どうなのだろう。性差よりも、個人差といった場合もある

 もう少し柔軟にいかないか。女子のノック補助が危険というなら、もはや亜熱帯の日本で、夏の一番暑い時季に大会を開くのは適切か。徳島県予選では熱中症が続出した

 本県代表・鳴門高校の対戦相手も決まり、7日の開幕を待つばかり。98回の伝統を誇る大会。「だから」に潜む偏見も改める頃合いだ。