キレンゲショウマを見に、剣山へ出掛けた。頂上に続く登山道、「刀掛の松」の分岐点を左へ下れば、程なく群生地に至る
かつて、この山系にたどり着いたという平家の落人の集落も、こんな具合だったか。木陰の傾斜地にひっそりと。釣り鐘をやや引き伸ばしたような黄色の花が数知れず、うつむき加減に咲いていた
何ともつつましい風情だが、この花とて、厳しい生存競争に打ち勝っての今の姿である。緑の中にそそとして、それでいて、したたかなのかもしれない。案外に、というのは人にもある
夏のごちそうの一つなのだろう。虫が1匹、釣り鐘に潜り込んで食事中だった。いかに希少でも、野生動物はあずかり知らぬこと。シカやイノシシも狙っている。山道の脇には食害防止ネットが張り巡らされていた
既に落ちた花あり、これから咲く花もあり。花期は中旬までだそうだ。行くなら早めの方がいい。せっかくだから、あと一息。山頂へ足を延ばし、ジロウギュウの緑の尾根、運が良ければ鳥取県の大山まで、360度の眺望を楽しみたい
リフトを利用すれば楽なようでいて、降りればすぐに始まる急な坂はこたえる。「できるだけ、ゆっくり登るのがポイントです」とは、剣山頂上ヒュッテ管理人・新居綱男さんからのアドバイス。きょうは、初めての「山の日」である。