人の心を浮き立たせる共通のリズム、それは阿波踊りの二拍子かもしれない。「一かけ二かけ三かけて四かけた踊りはやめられぬ」。徳島市の選抜阿波踊り大会の前夜祭で一足早く浮かれた

 浮かれながら、思い出したのは「人間にとって本当に価値(意味)があるものはローカルな場でうまれる」という情報学者西垣通さんの言葉だ。著書「スローネット」(春秋社)にある

 西垣さんは、富山市八尾町の「おわら風の盆」を紹介し「親の世代から子の世代へと受け継がれ、さらに洗練され魅力をましていく」と述べている。それは八尾というローカルな場の創造物なのだと記した

 阿波踊りも、代々引き継がれ、磨かれてきた。それは徳島というローカルな場の創造物であるのも間違いない

 2年前、徳島県の国際交流員を3年間務めたドイツ人が踊った後、こう話していた。「踊ることで全てがつながる。世界共通の最高のコミュニケーション」と。国籍も、人種も、言葉の壁もやすやすと乗り越えられる、阿波踊りにはそんな力があると実感したのだろう

 「五かけ六かけ七かけて八っぱり踊りはやめられぬ」。終戦からわずか1年後に復活し、グローバル化した今でも、連綿と受け継がれている。多様な言語、多様な文化を認め合い、共存していく。阿波踊りはそうした時代と共にある。