戦後も71年。戦争体験を語り継ぐ元兵士らに、かつて教育現場で取材した人の名前を見つけて、驚くことがある。あの人も元兵士だったのかと。戦後の教壇で、どんな思いで戦争と平和を説いてきただろう

 戦争を知る人たちの長い戦後に深い敬意を表し誓いたい。愚かな戦争を繰り返さずに済んだ。これからも戦争はしないと

 画家飯原一夫さんの画文集「追憶の昭和徳島」に、1945年7月の徳島大空襲を描いた一枚がある。B29が降らせる焼夷弾(しょういだん)で真っ赤に燃え上がる空の下を、防空頭巾の母と子が逃げ惑う

 そんな悲惨な絵を、東京都墨田区のすみだ郷土文化資料館でも見た。B29による東京大空襲、隅田川の上を火が走った。真っ赤に染まった空の下、おびただしい死体が川や橋上にあふれた。言問橋の親柱に空襲の焦げ跡が今も残る。触れると、無念の思いが伝わってくる

 きのうの全国戦没者追悼式に、多くの語り部が座っていた。天皇陛下はお言葉で過去への「深い反省」を表明された。安倍晋三首相は「戦争の惨禍を決して繰り返さない」と強調したが、歴代首相が触れたアジアへの加害と反省に言及しなかった

 徳島で、東京でその惨禍を語り、描き残そうとするのは、焼け野原を再興した戦前生まれの人たちだ。戦後世代の首相は、彼らの姿から何を学んでいるのだろう。