言葉尻から腹の内が読めることがある。米政府要人の本音だろうが、思慮に欠ける点では、暴言が一枚看板の異色大統領候補に肩を並べる。「(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を私たちが書いたことを、彼は知らないのか」

 民主党大統領候補クリントン氏の集会での、バイデン副大統領の発言である。日本などの核保有容認論を声高に語る共和党候補のトランプ氏を、散々こき下ろす中で述べた。隣ではクリントン氏が何度もうなずいていた

 占領軍の草案が基になっている憲法だとしても、政府の要人があからさまに言い立てるのは異例だ。「押し付け憲法論」を勢いづかせて、米国に利益はあるか

 オバマ大統領は、敵の核攻撃まで核兵器を使わない「先制不使用」政策の採用を検討している。核なき世界への一歩といえるが、政権内では消極論が根強い。「日本が米国に頼れないと判断すれば、いつ核を持ってもおかしくない」との認識が暗黙の了解になっているからだという

 唯一の戦争被爆国・日本が言う核兵器廃絶も口先だけ、との判断なのだろう。副大統領の発言といい、いずれにせよ軽く見られたものである

 「核の傘」の抑止力を損なうとし、日本政府は米国の核戦略転換に反対の姿勢だ。被爆国が核軍縮の阻害要因となる。軽く見られるのには理由がある。