その間、何があったか約1000キロ。もとより動物語を解せず、冒険談を聞くすべもないのだが、決して楽しい旅ではなかっただろう。6月下旬、インド北東部のアッサム州で洪水に流され、群れからはぐれたゾウが、遠くバングラデシュの池で住民らに助けられた
これだけの距離、途中でどうにかできなかったか、とは思うものの、終わりよければそれでよし。今月12日、ちょうど「世界ゾウの日」のことだ
このゾウの日、危機に直面するアフリカ、アジアのゾウの保護を訴えるため、最近設けられた。わけてもアフリカゾウの状況は深刻で、象牙目当ての密猟と密輸が急増しており、絶滅の恐れが高まっているという
国連環境計画の報告書によると、被害に遭うアフリカゾウは年2万~2万5千頭。経済発展した中国など、アジアでの象牙の需要が要因とされ、犯罪組織やテロ組織の資金源になっているとの指摘もある
象牙の国際取引は1990年に禁止された。ただ、日本など国内取引を認めている国がある。需要がある限り密猟はなくならない、とアフリカ諸国は強調する
来月のワシントン条約締約国会議に向け、米国が国内取引の禁止を各国に求める決議案を提出した。中国も市場の閉鎖を決めた。象牙の国際取引解禁を支持してきた日本も、もはや取るべき道は一つである。