並べと言われればいつも先頭に、学校の成績は常にトップクラス。誰よりも1番が好き、そんな子どもだった。リオデジャネイロ五輪のバドミントン女子ダブルス・松友美佐紀選手。信頼厚い先輩・高橋礼華選手と共に頂点へ駆け上った
世界ランキング1位。最も金に近いペアと言われた。松友選手は繰り返した。「数字の1番と本当の1番は違う」。ロンドン五輪に出られなかった悔しさから立ち上がり、重圧をはねのけ、ようやくつかんだ「本当の1番」だ
時に早く、力強く、時にふわりと。ネット際に、ライン際に、5グラムほどの白いシャトルを縦横無尽に操った。同じ目標を目指し、10年かけて築き上げた世界一のコンビネーション。「2人で一つ」、演じた大逆転劇
ラケットを握ったのは6歳のとき。地元藍住町のチームを振り出しに腕を磨いた。「夢はオリンピックでメダルを取ること」。夢を追って、流した汗はどれほどか
体操、柔道、競泳、卓球、レスリング…、そしてバドミントン。日本のメダルラッシュが続く。栄冠をつかんだ選手も、力及ばなかった選手も
古代ギリシャの勝利の女神が描かれた金メダルは重さ500グラム。松友組が手にした、何より重い500グラムの中には、さまざまな思いが染み込んでいる。勝者の喜びの涙と敗者の悔し涙で、メダルは金色に輝く。