気概という言葉が似合う。「今の日本は、戦争のにおいがぷんぷんする」。100歳を超しても反戦平和の声を上げ続けた希有のジャーナリスト、むのたけじさんが亡くなった

 戦時中は従軍記者として中国や東南アジアに派遣された。負けているのに勝ったと「うそばかり書いていた」。けじめをつけるために、1945年の敗戦に際して、朝日新聞を退社した

 <自分の身を焼いて暗闇を照らすたいまつになる>(「日本で100年、生きてきて」朝日新書)。同じやるなら、方言で通じ合える東北で、と故郷の秋田県横手市で週刊新聞「たいまつ」を発刊した。反戦平和や農村、教育などをテーマに、地方の視点から健筆を振るった

 家族経営の時期が長く、貧乏に追われたが、「私の一生の中に筋金を通してくれたのだな、と思う。続けることがエネルギーを生む。人間として納得のいく生き方ができるということだ」

 第2次大戦後も、世界から戦火は消えることがない。それでも「戦争はやめられる」と訴えた。やめようと思えばやめられると、皆が確信を持つこと。人類700万年の歴史からみれば、戦争が始まったのは、つい最近のことではないか

 <あきらめるな。やろうと思ったらあきらめることをあきらめなさい。そう生きようじゃないですか>(同書)。重い宿題である。