視覚障害者にとって駅のホームは「欄干のない橋」にもたとえられるという。東京都内の地下鉄駅で盲導犬を連れた男性が転落、死亡した。本県でも昨年、全盲の男性が、後退してきたトラックにはねられて亡くなっており、身につまされる
日本盲人会連合会が視覚障害者を対象に実施したアンケートによると、実に36%が「ホームから転落したことがある」と答えている。転落を防ぐ「ホームドアの設置」を求める声が90%にも上ったそうだ
国土交通省によると、1日10万人以上が利用する全国251駅のうち、ホームドアがあるのは、およそ30%の77駅にとどまっている。大勢が利用する駅には不可欠の安全設備である。整備は急務といえる
ただし、全ての駅に必要か、となれば話は別だ。実際にはなかなか難しい。設備に頼り切りというのではなく、「声掛けが重要」とは視覚障害者団体などの意見である
でも、どう接していいか分からないという人も多いだろう。何も難しいことではない。危ないと思ったら「危ないですよ」と声を掛ける。それで事故が防げる可能性がある。気後れすることはないと筆者は心に決めている
あれだけの人がいて関わろうとする人のいない都会の孤独。これだけの人しかいないけど、「欄干のない橋」を一人で歩かずに済む、そんな徳島にしたい。