それを上回る効用があるから、人は危険を冒す。その前提に立てば、「ポケモンGO(ゴー)」をしながらの事故には、どんな説明がつくだろう

 徳島市で交通死亡事故が起きた。全国でも初めてとみられるが、極めて特異な事例というわけではなさそうだ。警察庁のまとめでは、「ながら」の交通事故は先月22日のゲーム配信開始から1カ月間に79件。道交法違反などでの摘発は1140件に上っている

 人の命より、スマートフォンのゲームが大切。そんなつもりはないはずである。命を上回る効用などありはしない。危険だと承知していて、どうして運転中にゲームをする人が絶えないのか

 どうやらスマホには、危険を危険として認知する力をそいでしまう性質があるようだ。「歩きスマホ」も危ないといわれ、かなりたつ。ポケモンGOは、こうしたスマホの性質を、誰の目にも分かるように引き出しただけ、といえるかもしれない

 便利で役に立つ。ゲームも楽しい。それはよく分かるが、危険は、何も事故・事件に限ったことではない。先日、こんな標語を目にした。<スマホ置きその手でこどもを抱きしめて>(香川県東かがわ市の人権標語作品)

 スマホが開く扉から別の世界をのぞいている間に、どんな時間が失われているか。その大きさについても考えてみてはどうだろう。