藤本聰選手の足跡には、4年ごとのパラリンピックが刻まれている。そこに5個目のメダルが並んだ。41歳、4年後の東京五輪は45歳で迎える。その歩みは「もう」ではなく、常に「まだ」なのかもしれない

 柔道男子66キロ級で銅メダルを獲得した。相手はリトアニアの22歳だったが、徳島市内のトレーニングジムに通うなどして、筋力を鍛え直した結果が表れた。攻めるその姿勢に「まだ」の気持ちがあふれていた

 「粘って粘って。最後は気持ち一つ。こんなおっさんでも体力は現役で一番強いと思っている」というコメントがいい。そんな藤本選手と徳島で同じく呼吸している、と思うと誇らしくなる

 さかのぼれば、1996年のアトランタから3大会連続で金メダルに輝いた。試合後、「目が悪くなかったら、こんなに頑張っていなかった」と語っていたのを覚えている。彼の偉大な記録には、色あせない記憶が重なる

 4連覇も、と挑んだ2008年の北京大会は決勝で敗れて、前回ロンドン大会は出場を逃している。しかし、8年という空白はリオで見事に埋まった。喜びも、悔しさも味わったその姿に、人は勇気と感動をもらうのだろう

 アトランタ、シドニー、アテネ、北京、リオ。藤本選手の足跡に、次回の東京大会が加わる。そこで最高の景色を-。挑戦はまだまだ続く。