不平等が常識として、大手を振って歩いている。核兵器国以外への核の拡散を防ぐ「核拡散防止条約」も一例だ
条約にいう「核兵器国」とは1967年1月1日以前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国を指す。米、露、英、仏、中の5カ国だ。端的に言えば、これらの国々以外の核保有を許さない、とする条約である
大国による核の独占との批判は当初からあった。現在、締約国は190を超えるが、70年の条約発効後に核実験を行ったインド、パキスタン、事実上の核保有国のイスラエルは条約に加盟していない。北朝鮮は脱退した
それほど平和を脅かす兵器であるならば、5大国だって放棄すべきではないか。論理は当然そちらへ向いていく。実は条約も前文に核廃絶を目指す文言が入り、第6条で核軍縮交渉を義務付けている
「誠実に交渉を行うことを約束」しながら進まない。核廃絶に向けた核大国の不誠実さが、北朝鮮に暴走の余地を与えているともいえる。核抑止という言葉が生きている間は第2、第3の北朝鮮、テロ集団が出てこよう
唯一の被爆国が「核の傘」の下にある矛盾はあれど、「核兵器は絶対悪」の思想を、日本は今こそ声高に語るべきだ。段階を踏むのもいいが、いつまでも煮え切らない態度では国際社会に名誉ある地位は占められない。