「可能性の時代」が来た。そう言っていいかもしれない。リオデジャネイロ・パラリンピック。強国の国を挙げた選手強化と、義足や車いすの技術革新で、生まれた世界記録は200を超える

 10秒台の争いとなった陸上男子100メートルを支えた義足は、アイスランドとドイツの会社が技術で先を行くそうだ。日本選手団関係者から「F1と中古車の差」との声が漏れるほどだから、効果は絶大だったのだろう

 十分な練習環境と秀でた用具があれば、記録はいくらでも伸びる。男子走り幅跳びで、五輪の優勝記録を上回る8メートル40の世界記録を持つ義足のジャンパー、マルクス・レーム選手(ドイツ)は言う。「障害者でも健常者を超える時代が来た」

 初の金メダルゼロに終わった日本の立ち遅れは明らかだ。4年後の東京大会に向けて、やるべきことはたくさんある。義足や車いすといった用具の技術革新でも、「ものづくり日本」の看板にたがわない結果を出したい

 徳島県内では、7月に「障がい者スポーツ協会」が発足したばかり。各競技の裾野を広げていくには、まだまだ官民の応援がいる

 忘れてならないのは、パラリンピックも一般社会と地続きであることだ。選手だから特別、ではない。心のバリアを外してみれば、身近な人たちの可能性の芽も、きっと見えてくるはずである。