徳島弁護士会に登録して約20年が過ぎた。民事法廷で初めて行った本人尋問を、今も鮮明に覚えているという。トンネル工事でじん肺になった県内の元作業員らが、企業などに対して損害賠償を求めたトンネルじん肺訴訟だ。

 弁護団の一人として男性被害者の自宅に招かれ、酸素チューブが置かれた部屋で病状や身の上話を聞いた。「暮らしぶりや苦しみがよく分かった。事務所で待つのではなく、依頼者の元へ出向くと分かることがあると学んだ」。裁判所は男性を含む県内の原告全員の被害を認定。人の役に立てる仕事だと手応えを感じた。

 「現場主義に徹し、依頼者の目線で事件を見詰める」。大切にしているモットーは昔から変わらない。

 ただ、社会が弁護士に求める役割は変わりつつある。最近は法廷での係争だけではなく、消費者団体や企業から相談業務を依頼されることが多い。

 災害発生時、弁護士会が被災者の法律相談に応じる協定も自治体などと結んだ。予防や備えの観点からも、支援を求められていると認識している。「積極的に地域社会に関わり、身近な存在でありたい」

 今年10月には全国から約千人が集まる「日本弁護士連合会人権擁護大会」が、33年ぶりに徳島で開かれる。会員登録数93人の小さな所帯ならではの「団結力」を生かして、実りのある大会にするつもりだ。

 趣味は将棋。「戦略を組み立て、勝つためにじっくりと考えるのが楽しい。職業柄かもしれませんね」と笑う。石井町出身。46歳。