中国・周王朝建国の功臣、呂尚は釣りの最中、文王に見いだされたという。「あなたこそ、先王太公が望んでいた賢人だ」と王は歓喜の声を上げたとか。後に、釣り人の異称ともなる太公望の故事である

 沖縄本島の南、南城市のサキタリ洞遺跡で、世界最古となる約2万3千年前の釣り針が出土した。国家というシステムも登場していないころの海人、後期旧石器時代の太公望が何を思いながら糸を垂れていたのか、と想像も膨らむ

 旧石器人も、シカやナウマンゾウを追いかけるばかりではなかったらしい。思いの外、グルメだったようである。遺跡からは、上海ガニの仲間、モクズガニの爪やウナギなどの魚の骨も見つかっている

 さて、くだんの呂尚はまた「覆水盆に返らず」の逸話でも知られる。一度こぼれた水は元には戻せない。現代にも生きる含蓄あることわざである

 こちらの面々は4年前、政権から転落して以来、実感し続けているのではないか。旧民主党時代の失敗を引きずる民進党。党勢回復に躍起だけれども、覆水を盆に返すような困難さに直面している

 蓮舫新執行部が始動した。昔なじみの顔が並び、「新世代」や「全員野球」の印象は薄い。実力が試されるのはこれからだが、蓮舫さんも案外「グルメ」ではないな、というのが、ひとまずの偽らざる感想である。