とにかく記録ずくめだった。かど番大関では初めての全勝優勝、大阪府出身では86年ぶりの賜杯…。この秋場所、大関豪栄道への声援は日増しに大きくなっていた

 おととい、最高潮に。勝ち残りの土俵下で、インタビューでむせび泣く姿に、もらい泣きした人は多かっただろう。「いろいろな人に支えてもらい、感謝の涙だ」。豪栄道はそう語った

 勝っても負けても表情一つ変えたことがなかった大関の涙、そこには我慢と辛抱、屈辱に耐えた日々があった

 大関昇進から2年間で2桁勝利は1度きり。在位13場所で4度目のかど番、落ち目の大関が見せた快進撃は相撲史に残る。願わくば、横綱としてその名を長く刻んでほしい。故郷の人たちも好角家も、そう望んでいるはずだ

 力士の誰もが古里を背負っている。かつて、出身地の名をしこ名にする力士は多かった。思えば、1月場所で優勝した琴奨菊の福岡、好成績が続いた稀勢の里の茨城と、地元の悲願である綱とりの夢はかなえられていない

 「2カ月に1度の本場所を大切に闘う」と肝に銘じている大関が、11月の九州場所で、どんな相撲を見せてくれるのか。古里・大阪だけではなく、多くの相撲ファンが、期待を持って土俵を見守る。豪栄道、本名沢井豪太郎。九州でも豪、豪、ゴー。「豪栄道コール」を響かせてほしい。