松友美佐紀、高橋礼華(あやか)両選手を出迎える列の中にいた。リオデジャネイロ五輪のバドミントン女子ダブルスで、日本勢初の金メダルをつかんだ2人。「おめでとう」。県庁玄関・県民ホールに飛んだ祝福の声に、笑顔で応えていた

 思い出すのは、デンマークペアとの決勝、あと2点取られれば万事休すの16-19、絶体絶命の場面である。「世界選手権などの大きな大会で勝てない場面もたくさんあったので、やっぱり勝てないのかな、と一瞬思った」。県民栄誉賞の贈呈式で、松友選手は振り返った

 ただ、「諦め」にも2種類あるらしい。本当に諦めてしまうのと、どうせ負けるのだったら、少しでも自分たちのやってきたことを出したい、と開き直るのと。松友選手は無論、後者だった

 普段から前向きな性格の高橋選手。傍らで、こう考えていたという。「ここから逆転したらすごいな」。頼りになる先輩である

 そんな選手でも最終盤、どうやって勝ったのか、記憶にないそうだ。五輪はそれほどの舞台なのだろう。「2人で」、次はまだ手にしていない世界選手権の栄冠を目指す。東京はその先にある

 大忙しの両選手。きょうは松友選手の地元、藍住町内をパレードする。時間が許すなら、ぜひご覧になった方がいい。同郷の身びいきで言うのではないが、世界最高の笑顔である。