<わが行く道に茨多し/されど生命の道は一つ/この外に道なし/この道を行く>武者小路実篤。こんなにはなかなか、すぱっ、とはいかないのである。多くの人にとって人生とは、どたばた、じたばたしながら歩むもの

 だから「嫌い」なんて言いなさんな。徳島県内の12~22歳の青少年を対象にした県の調査で、36%が自分のことを「嫌い」「どちらかといえば嫌い」と回答したという

 容姿に学業と悩み多き10代、20歳そこそこなら、これくらいの数字にはなるか。「自分が好き」と公言されるよりも、むしろ自然な感じがする。「生活の満足度は」との問いには、84%が「満足」「やや満足」と答えているから、「嫌い」の程度もどれほどか

 とはいえ36%には、出口の見えない暗闇で、もがいている子が含まれているに違いない。そんな子がもし教室にいたら、君ならどうする?

 「奇跡の人」ヘレン・ケラーがこんなふうなことを言っている。<顔を日の光に向けなさい。そうすれば、あなたは影を見ることができなくなる>。「日の光」は「自分の長所」に置き換えてもいい。見当たらなければ、見つかるまで探し続けること

 誰もが悩みに悩む。大人になるとはそういうことだ。それから…、再び悩みに悩むのである。順風だけの人生があったとしたら、それこそ悩みの種だろう。