それぐらい、と無視する人がいても不思議ではない数値である。けれども、自分の体温が2度上がったときのことを思い出してみるといい。何ともなかったよ、という人はあまりいないはずだ。地球も一つの生命体、そう考えてみよう

 温暖化対策の新たな枠組みとなる「パリ協定」が来月4日に発効する。世界の温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにして、産業革命前からの気温上昇幅を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す

 人間なら、ある程度は薬で対処が可能だ。でも、地球にそんな特効薬はない。海面上昇や異常気象の増加といった温暖化の影響を回避するには、全ての国が温室効果ガスを地道に削減していくほかはない

 乗員100人以上、全長120メートル余りの宇宙船で、2022年にも火星へ初飛行をする、との発表が先日あった。米民間宇宙企業スペースXは100万人単位での火星移住構想を温めている

 この星を離れ、誰が移住するのか、といった疑問も湧くが、構想が実現するという40~100年後には、古里に見切りをつける人も出てこないだろうか。渡航費用の約2千万円を確保した人だけが生き延びられる、そんな地球にしては一大事

 日本はまだパリ協定を批准しておらず、歴史的な枠組みのスタートに出遅れた。早々の巻き返しが必要だ。