新聞紙を鉛筆ほどの太さに丸めた円柱が、長さもばらばらに、四角い枠の中にびっしり立っている。大都会の高層ビル群を空の上から眺めた風景のようでもある。「NEWS PAPER」との題からして意味深だ。1字空きにも、「現代文明批判か」などと、しばらく考えた

 「徳島障害者芸術祭エナジー2016」(16日まで、県立近代美術館)の大賞、松茂町の障害者支援施設「春叢園」利用者の作品である。中心は20~40代、自閉症などの5人

 施設作業の一環で、菜箸を軸に新聞を固く丸めて一本一本、円柱を仕上げた。手先を使うのが苦手な人が多く、簡単ではなかったという

 「テーマがあって作り始めたわけでもないんです」と施設職員は言う。でも、それぞれの営為が集まれば何ほどか、意味のようなものが立ち上がってくるのが面白い。解釈は見る人次第

 同じ大賞に選ばれた平山ヨシエさんの「旅立ち」は、赤系統の流れる線が印象的な、温かみのある色鉛筆画。一斉に飛び立った鳥が、画用紙を舞う。三好市の箸蔵山荘で暮らす63歳。週1回の絵画クラブのほか、動物や魚の絵をいつもノートに描いているそうだ

 芸術祭には252人と29団体が281点を出品している。構えて見る必要はないが、作品が会場に並ぶまでの物語にも関心を持てば、鑑賞はより楽しくなる。