東アフリカ・ケニアの名物ニャマ・チョマは、骨付き肉を炭火であぶっただけの素朴な料理だが、岩塩で食べれば、それはそれはうまい。牛肉も魚もあるけれど、お薦めしたいのはヤギ肉だ。思いの外、くせはない

 15年ばかり前、ケニアの田舎町の焼き肉店でのこと。目の前に焼き上がったヤギ肉が積まれ、さあ食べるばかりとなった途端である。明かりが消え、辺りは文字通り真っ暗闇になった

 店の人は慣れたもので、すぐにロウソクを持ってきてくれた。手元しか見えないささやかな光が頼りの夕食も、これはこれで風情があったが、聞けば、インフラ整備の遅れで電力が足りず、停電は日常茶飯事とか

 電気が通じて当たり前の私たちの暮らしは、考えようによってはケニアの田舎町よりもろい。東京都内の大規模停電を巡る混乱は、それを如実に示している。影響は、霞が関の中央官庁にも及んだという

 早期に復旧したのは、備えあってこそではあるだろう。それでも、隣県で起きた送電用地下ケーブルの火災が、一時とはいえ日本の中枢をまひさせるとは。敷設されたのは35年前だから、経年劣化が火災の原因となった可能性もある

 送電用ケーブルだけではあるまい。首都東京、思わぬ弱点を抱えている。根本的な危機回避策は、機能の地方分散しかないと改めて主張しておく。