小学生なら知らないかな。中学生の皆さんは、アンリ・ルソーという画家の、名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれません。夢の中の景色のような、とても不思議な絵を描く人です

 私はこの人の作品が好きで、展覧会があれば欠かさず足を運んでいますが、じっと眺めていたある日、やっぱり、と確信しました。下手なのです。遠近感は適当で、計算しているとも思えない塗り残しなんかもあります

 生まれは1844年、フランスの田舎町ラバル、税関職員だったようです。50歳を前に仕事をやめ、夢であった画家になりました。ところが美術展に出品しても、妙な絵だと笑われるばかり

 そんな境遇が突然、変わります。若き日のピカソが古道具屋でルソーの絵を見つけ「こいつはすごいぞ」と仲間に紹介したのです。ようやく認められる日が来ました。64歳のときでした

 自分がいいと信じることを貫く。そうすれば、いずれ理解してくれる人も現れる。どうやら、そんなものらしいですね。ルソーのような画家はほかにもいて、素朴派と呼ばれます

 あすまで、徳島市で県こども美術展が開かれています。来月は阿南や美馬で巡回展があります。入選作のように描けなくても、気にする必要はありません。上手、下手より大事なのは、美しいと思う心をいつまでも持ち続けることです。