衝突が激しくなればなるほど、感情がささくれ立つ。ののしりたくなることもあろう。売り言葉に買い言葉といった場面があったやもしれない。だとしても、いくら何でもこれはひどい

 沖縄県東村と国頭村にまたがる米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設工事を巡り、警備に派遣されていた大阪府警の20代の機動隊員が、こんな暴言を吐いた。「どこつかんどんじゃボケ。土人が」

 建設に抗議してフェンスを揺らすなどしていた数人に対してである。久しく聞いたことのなかった差別語。品がないといった次元の話ではない。思わずもらした本音、と沖縄の人たちは受け止め、あからさまな差別意識に怒りを募らせている

 動画投稿サイト「ユーチューブ」には、別の機動隊員が「黙れ、シナ人」と発言する映像もある。もう、言いたい放題。これでは警備に行っているのだか、火に油を注ぎに行っているのだか分からない

 小さな島に、在日米軍専用施設が過度に集中し、ヘリパッド、米軍普天間飛行場の辺野古移設など、さらに負担が求められている状況を、住民は「沖縄差別」と表現する

 問題の暴言の主が「本土」の警察官だったのは象徴的だ。偶発的というより、国ぐるみの沖縄差別ともいえる構造がまずあって、その先端で起きたのが今回の事態ではないか。