東京五輪の会場見直し問題は着地点が見えず、迷走ぶりが際立っている。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は東京都、政府、大会組織委員会、IOCの4者による作業部会の設置を提案し、収拾を図ろうとしている

 都内か、宮城県か。ボート、カヌー・スプリント会場がさて、どちらに落ち着くのか。4者協議に先立って、都は結論を出すという。複数の種目について、バッハ会長は東日本大震災の被災地で実施する構想も提案している

 「おもてなし」で引き寄せた東京五輪。いずれにせよ、見直しのキーワードになるのは、バッハ会長が発した「もったいない精神」だろう

 経済成長から縮小均衡の時代へをサブタイトルにした「小商いのすすめ」(平川克美著、ミシマ社)に、こんな一節がある。1964年の東京五輪を境に、それ以前とそれ以後の日本には断絶があるという。<それは、ひとことでいえば、経済と精神のポジションが逆転したということです>

 大きいことはいいことだ-。五輪から3年後、CMソングがちまたに流れたが、成長の階段を駆け上がっていた、そんな時代ではない

 華やかな祭典の後に残すべきは「負の遺産」ではなく、人々に親しまれ、長く愛用される「レガシー(遺産)」であるべきだ。コンパクトで美しい五輪を目指すべきである。