品性に欠ける物言いばかりに注目が集まるが、来日したドゥテルテ大統領は、フィリピンでは圧倒的に支持されている。政権発足直後の7月の世論調査では支持率91%。最新の調査ではやや下がったものの、それでも86%と驚異的だ

 容疑者殺害もいとわない麻薬取り締まりで、既に3千人以上の死者が出ている。無実の者や子どもが含まれていたとの情報もある。人権感覚の貧しさは国際社会が非難する通りだ。だが、国民は拍手を送る。犯罪が比国をいかにむしばんでいるか。その表れだろう

 「麻薬戦争」のほか、共産ゲリラ「新人民軍」やイスラム武装組織との停戦合意、雇用主に非常に有利だった労働法制の改革など、大統領就任から100日余りで、アキノ前政権の6年間よりも多くのことを成し遂げた、と比各紙は好意的である

 農村に根深く残る大土地所有制の解消にも乗り出している。この大統領が醸し出す雰囲気は初めてじゃないなと思いを巡らせていて、行き当たった。南米の反米政権だ

 日本にいれば政治も経済も、米国を中心とする世界観に慣れきっている。アジアの親米国が突如として反米を口走れば、米国と一緒になって驚きもする

 派手な言動を煙幕にして、米中、大国間を泳ぎ切るつもりかもしれない。意外にしたたか。そう考えておいて、間違いはあるまい。