四国への赴任は初めて。徳島阿波おどり空港に向かう機内から徳島市の中心部を眺めて、南海トラフ巨大地震への危機感を一層強くしたという。

 沿岸部の平野に川筋が複雑に絡み合う地形。「津波から県民の命を守るため、役に立つ情報を届けたい」。穏やかな語り口に強い信念がにじむ。

 東京都出身。35年の職歴のうち大半が気象庁の本庁勤務で、主に震源の決定や地震予測に向けたデータ解析手法の開発を担当した。2007年に導入した緊急地震速報の運用に関わったのが印象深いと振り返る。

 地震予知情報課の課長補佐に就いた17年からは、南海トラフ巨大地震の想定震源域で、異常現象を観測した際の情報発信の在り方を検討した。

 巨大地震発生の可能性が高まった場合に気象庁が発表する臨時情報の重要性を強調。「東日本大震災を思い出してもらい、万が一に備えて今できるあらゆる対策を考えてほしい」と呼び掛ける。

 地震に関心を持ったのは幼少期。都内の自宅近くにあった関東大震災の関連施設で被災時の絵を見て、「地震が嫌いになった」。悲惨な被害をなくしたいと、地球物理を学べる千葉大に進んだ。観測点のデータを基に震源の計算に明け暮れた経験が今に生きている。

 趣味は旅行。8年前に鳴門の渦潮や祖谷のかずら橋を訪れた。「徳島には日本の原風景が多く残る。リアス式の海岸線が広がる県南地域も歩きたいですね」。都内の自宅に妻と娘を残し、徳島市の公舎で単身赴任。57歳。