年齢や職業、時代が容易に想像できるような言葉遣いを「役割語」と呼ぶそうだ。「<役割語>小辞典」(研究社)から例文を引いてみる。「おお、そうじゃ、わしが知っておるんじゃ」。注釈がなくても、お年寄りが話している場面が浮かんでこなかっただろうか
こちらはどうか。「うむ、さよう、せっしゃが存じておりまする」。いかにも武士といった感じだ。役割語は、実際そうであるかどうかはともかくとして、社会でそうだと認識されている言葉群である
「自分」とか「貴様」とくれば<軍隊語>となる。これは旧日本軍に当てはまることで、自衛隊となれば別だろう。きびきびした印象はあるものの、これぞ自衛隊といった語が、とっさには見当たらない
政府は、南スーダンの国連平和維持活動に派遣する陸上自衛隊に対して、安全保障関連法に基づく新任務「駆け付け警護」を付与することを決めた。平和の国の実力集団が、新たな”役割語“を身にまとったわけだ
現地の治安は流動的。民族大虐殺に発展する懸念すらささやかれている。訓練は積んだはずだが、いきなりの応用問題である。「想定外の事態に対応できる応用力がどれほど身に付いたかは、実際にやってみないと分からない」(陸自幹部)。本音だろう
任務実施は来月12日から。引き返す時間はまだある。