1行10文字で73行を読むのはつらかった。おびえ、悲しみ、不安を吐露した、その指先は震えていたに違いない

 東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した中学1年の男子生徒の手記である。小学2年から、名前に菌を付けて呼ばれる、いじめを受けてきた。「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった」

 手記の冒頭には、加害児童3人の名前がある。どの名も、いじめる側になってほしいと名付けられたわけではあるまい。ましてや、いじめを日課にして学校に通っていたわけでもないはずだ

 小学5年の時には「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言われた。同級生らは遊び金を要求した。「ていこうするとまたいじめがはじまるとおもってなにもできずにただこわくてしょうがなかった」という

 いじめられていることを何度訴えても「(先生に)むしされてた」。死が頭をよぎったが、「しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」と記している

 なぜ原発事故は起きたのか、どうして賠償金が出ているのか、放射能はばい菌か。一つ一つを子どもたちに語り聞かせる、それこそが先生の役目ではないか。この時季、浜通りには時折、きつい浜風が泣くように吹く。