「街道をゆく」という歴史紀行で知られる作家司馬遼太郎さんが見たかった21世紀を生きているが、それはどんな時代なのか。ふと考えることが多くなった
「現代用語の基礎知識選 2016ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語が発表されたが、「タカマツペア」「ポケモンGO(ゴー)」に交じって「トランプ現象」が入っていた
文字通り、次期米大統領のことであり、関心の高さを証明するものだろう。次期大統領が現象として捉えられ、流行語になる世の中とは一体? サイレント・マジョリティー(声を上げない多数派)の力の大きさなのか
そのトランプ氏と安倍晋三首相が、ニューヨークで会談した。時間は約1時間半にわたったが、問題は中身である
メキシコなど近隣諸国も会談の内容を知りたいだろう。だが、首相は「ともに信頼関係を築く確信を持てる会談だった」と述べるだけで、詳しくは語らなかった。せめて、根拠の一端でも明かしてはどうなのか
21世紀も世界は米国を軸に回っている。トランプ氏はどこへ導くのか。司馬さんに「あなたが今歩いている21世紀とは、どんな世の中でしょう」と聞かれたら、逆にうかがってみたいところだ。著書「21世紀に生きる君たちへ」(朝日出版社)をひもとき、ため息をつきながら、一人で問答を繰り返している。