歌は時代を映すというが、大みそかのNHK紅白歌合戦は、歌手の栄枯盛衰を映す鏡だと言えようか

 出場39回を誇る和田アキ子さんが落選し、宇多田ヒカルさんや人気デュオの「KinKi Kids」の初出場が決まった。<歳歳年年人同じからず>の古典に倣えば、顔触れが変わることは不思議ではないが、一抹の寂しさも感じる

 和田さんといえば紅白の司会やトリを務めた大ベテラン。暮れの国民的行事には欠かせない歌手だと思っていたのだが

 <つまづいて傷ついて泣き叫んでも/さわやかな希望の匂いがする>。彼女が熱唱する「あの鐘を鳴らすのはあなた」には、何度も勇気づけられた。作詞した阿久悠さんは、著書「夢を食った男たち」(文春文庫)に「その時の流行(はや)りすたりの中で大きく売れるという歌ではなかったが、印象に残る歌で、長く歌いつづけると時代の歌になると、自賛していた」と記している

 和田さんは、結果について「とても残念」とした上で「これからの歌手人生の一つの通過点だと思っている」と言う

 再び紅白で彼女の歌を聞きたいと思うのは、そのパワフルな歌声に、流行にこびない心意気、芯のようなものがあると感じるからだ。和田さんに限らず、時代の歌を持ち、歌うたびに多くの人々を励ます歌手が、やはり紅白には必要なのだと思う。