「統」と「総」。いずれも「すべる」と読み、意味は似ていたとしても、無論、別の字である。きのうの本欄で「統合型リゾート」と書くべきところ、「総合型」と書き損じてしまった
正しい情報を伝えられなかったのを大変申し訳なく思う。それでも、主張に変わるところはない。ギャンブル依存症対策や犯罪防止策を後回しにして、統合型リゾート施設整備推進法案、いわゆるカジノ法案の成立を急ぐのは、いかがなものか。最も肝心な点だから、再び記した
続きは、いささかためらいながら書いている。ふと、国語の教科書で読んだ平安時代の説話集「今昔物語集」を思い出したからだ。信濃守藤原陳忠(しなののかみふじわらののぶただ)のエピソードである
文中に見える「受領(ずりょう)は倒るる所に土をつかめ」とは当時のことわざで、地方に派遣された役人の欲の深さを示す。任期を終えて都に帰る途中、谷底に転落した陳忠もまた、転んでもただでは起きない
そこで見つけたキノコ採りにいそしみ、採り切れなかったのを悔やむ。命の危険に遭っても、手に入るものは何でも手に入れてやろうという強欲さに、家来はあきれ果てた
きのうは字を打ち間違え、きょうはそれをコラムの種にする。がめついことこの上ない、まるで陳忠のようではないか、との叱責(しっせき)も覚悟しつつ。戒めとして書いた、きょうの一文である。