ようやく見つけた仕事も、家財を質に入れてまで用意した商売道具の自転車が盗まれて…。映画「自転車泥棒」が描く敗戦後の失業と貧困。自転車を取り返そうとローマの街をさまよう父子の姿があまりに切ない

 映画公開と同じ1948年、イタリア共和国憲法は施行された。ファシストが台頭した戦前の反省から、政権の暴走に歯止めをかけるため、上院に下院と同等の権限を持たせている。この仕組み、上院がお目付役として機能している分にはいいけれど、短命内閣が相次ぐ一因ともなってきた

 上院の権限を縮小して政治を安定させたい。意図は分かるが、憲法改正の是非を問うというより、レンツィ首相に対する事実上の信任投票として、国民投票を受け止めた人が多かったようだ

 失業率は10%前後と高止まりしている。若者に限れば約40%に上る。「自転車泥棒」の頃ほどではないにせよ、明日の見えない切なさを、既成の政治はどれだけ理解してくれているのか。そんな怒りもあっただろう

 反対派勝利は、英国の欧州連合(EU)離脱や米大統領選のトランプ氏勝利と同じ、ポピュリズムの高まりの結果との見方もある。EU懐疑派の野党「五つ星運動」などが勢いを増すのは必至

 欧州は来年、大型選挙が相次ぐ。政治も経済も、ブーツの中の嵐で収まらないかもしれない。