最近はランドセルにもいろんな色があるんだな、とテレビのコマーシャルを見ながら思う。入学を控えた子どもたちは両親と、あるいは祖父母と一緒に選ぶのだろうか。「この色がいい、いやこっち」なんて言いながら。浮かんでくるのは、幸せの情景だ

 同じコマーシャルを見て、「関係ないよ」と言うほかない子どもがいる。家族の幸せとは縁遠い子の存在を、この人は決して忘れることがなかったのだろう。前橋市の河村正剛(まさたけ)さんである

 6年前、漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」名で市内の児童養護施設にランドセルを贈り、その後に続くタイガーマスク現象の端緒となった。東京であったプロレスイベントで初めて氏名を明かした

 会社員だったことに驚いた。有り余るお金で用意したプレゼントではないのかもしれない。河村さんも家庭環境に恵まれなかったという。ランドセル一つ一つに、お金では量れない、有り余るほどの思いが込められていたはずだ

 心に染みる河村さんの言葉を再録しておく。「子どもたちは虐待されるためではなく、抱きしめられるために生まれてきた。僕が表に出ることで、支援の拡充につながってほしい」

 届いたランドセルに詰め込むのは、真新しい教科書と希望だろう。幸あれかし-。河村さんと、あるいは続く人々と一緒に祈りたい。