智恵子は東京に空が無いといふ、ほんとの空が見たいといふ-。沖縄の人は言う。沖縄には空が無い、米軍機の落ちぬ空が見たいと言う

 重大事故から1週間足らず。大破した機体の回収も終わらないのに、在沖縄米軍は新型輸送機オスプレイの飛行を全面的に再開させた。日本政府も米軍の対応を「理解できる」と容認した

 事故があれば、運用再開より原因究明が優先される。これがこの国の常識だと思っていた。買いかぶりだったようである。沖縄県知事は不信感もあらわに言う。「政府などもう相手にできない」

 配備計画も事故の検証も「日米地位協定の下、政府が手も足も出せない国家」。米軍の言いなり、まるで植民地。その姿を全国民に見てもらいたい、と知事。在沖縄米軍トップは、住民に被害がなかったことを挙げ「操縦士に感謝せよ」と言ってはばからない。一体、誰の空か

 防衛相は言う。「米側の対応は合理性がある。配備が抑止力向上につながる」。沖縄の反発をよそに、政府はオスプレイ擁護に躍起だ。一体、どこを向いて仕事をしているのか

 高村光太郎著「智恵子抄 あどけない話」から-智恵子は遠くを見ながら言ふ。阿多多羅山の山の上に毎日出てゐる青い空が智恵子のほんとの空だといふ-。沖縄にほんとの空が戻るのはいつか。情けない空の話である。