いよいよ押し詰まってきた。申(さる)を見送り、酉(とり)を迎える、そんな準備を進める時かもしれない。一年の決意をしたためる、年賀状をと思っている人も多かろう

 かつてこんなコピーがあった。<年賀状は、贈り物だと思う。たった一枚の、小さくて、うすい紙。それが年賀状である>。コピーライターの岩崎俊一さんと岡本欣也さんの手による、日本郵政グループ2007年の広告である

 鈴木康之さん著「名作コピーの教え」(日本経済新聞出版社)に収められている。<そこには何も入らない。指輪も、セーターも、シャンパンも入らない。でも、そこには、あなたを入れられる>とあり、あなたの気持ちを、言葉を、表現を入れることができると続く

 <大切な人のもとへ。一年で、いちばん初めに届けられるプレゼント>で終わる。鈴木さんは2人について、こう記す。「有能な書き手ほど、性能のいい想像の翼、思いの翼を持っています」

 <世のつねに習ふ賀状を書き疲る>富安風生。世の常とはいえ、何と面倒な、と思うのもまた年賀状である。そんな時に、広げていくのが、想像と思いの翼だろう。住所や名前、添え書きの向こうに、ふと浮かんだりするのは相手の顔、顔…

 元気だろうか。今年こそ会いたいな。どの人も、申という一年を共有し、惜しみつつ、見送る仲間である。