日本にも生息するベニクラゲは、不老不死で知られる。有性生殖をすると普通は死ぬが、このクラゲはそのたびに若返り、再生するのだという。年齢が測定できれば、生まれて数億年の個体が見つかる可能性があるそうだ
比べて人間は、生年せいぜい百余歳。人、一人一人、与えられた時間は限られている。秒とは言わない。時とも言わない。日すらも無駄にしてはいないだろうか。美馬郡、山下喬平主将の選手宣誓に、そんなことを思った
第63回徳島駅伝の号砲が鳴った。「1秒を大切に最後まで全力で駆け抜ける」と山下主将。1分でも速く、1秒でも速く。ランナーは分や秒の時間の住人だ
2年ぶりの王座奪還なるか、鳴門。連覇の行方は、徳島。入賞やトップ10入りの争いも激しい。ベテランから中学の新鋭まで、オープン参加の名東郡を含む全16郡市の選手が3日間、265・3キロのコースでしのぎを削る
今回、男女それぞれ1・5キロの小学生特別区間が新設された。板野郡内できょう、初陣を飾る子どもたち。酉(とり)年にふさわしく、大きく羽ばたこう。目前を通り過ぎていくのは、将来の五輪代表かも
ベニクラゲのように若返ることはできないけれど、気持ちを新たにすることはできる。地元ランナーの走りが、そのきっかけを運んできてくれるかもしれない。応援を、ぜひ。