「21世紀に残っている王様はトランプのキングぐらいだろう」。いつだったか、そんなジョークを耳にした。世界の王室の存在を時代遅れだとやゆしたものだが、どっこい、今も健在で、外交舞台などで貴重な役割を果たしている

 ここに来て驚いたのは、キングが減るどころか、1人増えたことだ。言わずと知れた米国のトランプ次期大統領である。その言動が、かつての大国の王のように世界を左右しそうな様相を呈してきた

 大統領選で「メキシコ国境に壁を造る」などと過激な発言を繰り返していたトランプ氏は、20日の就任式を待たず、トヨタ自動車のメキシコ工場の新設計画をツイッターで批判し、「米国に工場を建設するか、国境で巨額の税金を支払え」と求めたのだ

 トヨタは「新工場によって米国内の生産台数や雇用が減少することはない」とコメントしたが、今後の推移を見守る必要がある

 トランプ氏から批判された米フォード・モーターは、既にメキシコでの工場新設を撤回した。米国の国益を最優先する王様の腕力は相当なものだ。だが、力だけでは、歴史に名を残す政治はできない

 米国民は大統領に、本命視されていたクイーンではなく、キングを選んだが、実は世界にとってはババ抜きのジョーカーだった。後世、そんなブラックジョークが残らないことを願う。