以前、韓国の政権に近い人から、こんな話を聞いた。もっとかたくなだろう、と思っていたから意外だった

 「元慰安婦はいずれ亡くなる。韓国でも問題への関心は薄くなるに違いない。いつまでも引きずり、韓日関係が動かないのは互いにマイナスだ。今が最後の妥協の時期」。その年、2015年の暮れ、両国はいわゆる従軍慰安婦問題に関し「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した

 不可逆とは、もう後戻りしないということである。しかし、韓国では、時計の針を戻そうとする動きが続いている。人気取りのために、時の政権が散々世論をあおってきた「つけ」ともいえる

 ようやくの日韓合意に反し、釜山の総領事館前に慰安婦被害を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として、日本政府は駐韓大使を一時帰国させた。当然の対応だろう

 韓国の国政はまひしており、にわかに事態は好転しそうにない。世論はあくまで強硬だ。日韓関係にひびを入れ、誰が喜ぶのか。大局的な見方ができる人も少なくないはずだが、どうしたことか声は聞こえてこない

 日本が拠出した10億円を基に、元慰安婦の支援が始まっている。不承不承ではあったとしても、合意を受け入れた多くの女性の思いはどうなるか。韓国世論に、もう少し気遣いを、と求めるのはむちゃな話なのだろうか。