メンバー全員が音大出身の4人組ロックバンド「マカロニえんぴつ」。ボーカル&ギターのはっとりさんが紡ぐ人間の弱さに寄り添った歌詞と感情を揺さぶる歌声、鍵盤を取り入れたドラマチックな楽曲と卓越した演奏技術で、2019年のブレーク候補に挙げられる実力派だ。信者を増やし続ける「マカロック」の楽曲に込めた思いや今後の目標を、はっとりさんとキーボード&コーラスの長谷川大喜さんが語ってくれた。

 ―サヌキロックは3回目の出演となる。

 はっとり 例えば手が上がらなくても、お客さんの表情とか体の揺れを見れば音楽がすごく好きなんだというのが一発で分かる。演奏していて気持ちよかったですね。

 ―音楽で街を活性化しようというイベントの趣旨については。

 はっとり すごく良いと思いますね。3カ月に1回くらいやりたいです。音楽が街を盛り上げるのに一役買えるというのは、音楽をやっている身としてはすごく光栄です。他に何もできないので。

 音が鳴っている所に人が来るって、実は当たり前のことではないんです。最近はライブハウス離れも進んでいるので、そういう中で人が来てくれている状況は大切にしなければならないと思います。

 ―はっとりさんのボーカルを「エモい」と評する声が多い。

 はっとり 僕自身、ユニコーンの奥田民生さんやウルフルズのトータス松本さん、エレファントカシマシの宮本浩次さんのような、感情を声に載せて歌うシンガーにあこがれて歌を始めたので、ただ歌詞をなぞって音程を取るのが歌じゃないと思っています。

 特にライブだと感情を込めすぎるくらい込めてしまう時があるので、歌っていて自分でも暑苦しいかなあって気になっちゃうことがあるくらいです。それでも、同年代のシンガーではあまりいない歌い方なのかなという自負はありますね。

 ―大学で学んだことも生かされているのか。

 はっとり 大学ではロック&ポップスコースを専攻して、音楽業界で活躍しているプロの先生たちから、レコーディングのやり方とか、ライブの、理論というより見せ方というか、ロックとは魂だという感情論とかを学びましたね。

 あとは、1対1のレッスンもあったんで、自分のシャウトの仕方の素養はそこで身に付いた気はしますね。大ちゃん(長谷川さんの愛称)はメンバーの中で1人だけそのコースではないんですけど。

 長谷川 僕はずっとエレクトーンコースを専攻していて、メンバーに誘われてロックの道に引きずりこまれた。

 はっとり 最初は女性の先輩にお願いしていたんですが、やりたいことが他にあった人なんでノリが合わなくて。同じコースには人数が少ないこともあってグッと来る人がいなくて、ベースの高野賢也がSNSで見つけてきたんです。

 長谷川 SNSに「新潟県で1位。コンクールで金賞を取った」みたいに、自慢げに書いてたんですよ。その時はしゃしゃってた(自己主張が激しかった)からね。

 はっとり しゃしゃってるくらいがうまいと思って、気に入って誘ったんです。でも、最初はロックオルガンの弾き方が全然分かってなくて。

 長谷川 ジャズ専門にやってたから、ロックの「ロ」もなくて。

 はっとり 今でこそ大ちゃんの、自分たちにはないジャズとかフュージョンとかブラックミュージックの要素を取り入れて作る楽曲が良いエッセンスになってるんですけど、当時はダメ出しばっかりでしたね。ロックのやつらが「違うんだよ、もっとひずませるんだよオルガンは」とか。

 長谷川 本当に何もできなくて。もっと弾かせろ、見たいな気持ちはありましたけど。

 はっとり エレクトーンって全部1人でやるじゃないですか。バンドに入って一ポジションを担うということをやっていなかったので、ノリを合わせる、立ち位置を分かるということを覚えるのに時間がかかりましたね。

 長谷川 結局、大学の4年間じゃ分からなくて。卒業してからになりました。

 はっとり 現場で場数を踏んで、いろんなバンドを見て悔しい思いをして、大ちゃんの心にロックが芽生えた感じですね。今ではマカロックには欠かせない人物になりました。

 ―それほど鍵盤にこだわった理由は。

 はっとり 僕はユニコーンにあこがれて中学生の時にギターを手にしました。あのバンドの音楽に対する貪欲な追求、ユーモアに引かれたんですが、鍵盤が良い味を出してるじゃないですか。だから鍵盤が必須でした。

 最低限の人数で鳴らす3ピースのかっこよさにもあこがれはあったんですけど、それよりもアレンジの幅の方を取ったので、鍵盤は必須でしたね。僕が大学でメンバーを集めた張本人なので。

 ―長谷川さんの加入で理想の音になった?

 はっとり 理想というとそこで止まってしまうし、まだ追求はしていますけど、求めていたものに一つたどり着けたと思えるのが今回のミニアルバム「LiKE」です。もう別のやりたいことがあるんですが。

 自分たちで縛りをかけず、やりたいことをやればいいんです。一ジャンルを突き通すバンドもいるけど、器用貧乏という名刺があってもいい。僕らは何でもやれる、そして何でも型にはまるという自負はあります。

 ―曲作りで心掛けていることは。

 はっとり ロック、ロックと言ってますが、あまりめちゃくちゃなことはせず、聞き心地の良いものに落とし込む努力をしています。歌を一番大事にしているので、歌が聞こえなくなっちゃったら本末転倒なんですよ。

 その上で、アレンジで面白いことをやろうという時に、どの楽器が出ている時はどの楽器が下がるというような、バランスをすごく意識しています。

 長谷川 昔はメンバーそれぞれがすごく出しゃばりたがっていたんですけど、最近はバランスを気にするようになりましたね。

 ―弱さや格好悪さも赤裸々につづった歌詞が共感を呼んでいる。

 はっとり 僕がほとんど書いているんですが、どの主人公もちょっとだけ報われてないんです。でも、何か必死にもがいていて一度は正解にたどり着く。それでもまだ自信がなかったり、どこか後ろめたさがあったりして、報われないまま終わる曲が多い。

 僕は人間の中でそういう姿が一番リアルだと思うんです。そういう時間を愛せた人が、人に優しくできる。愛は自分と向き合った者、傷付いた者の中でしか育たないと思うので、その愛が育つ過程を歌にしようとしているのかなと、最近になって気付きました。

 歌詞を書いている時は自分の気分を一番深く深くまで沈めていきますね。リアルであり温かい瞬間、報われていない瞬間っていうのは、興味があります。いつまでも答えが出ないテーマだからこそ、書き続けられるのかもしれないですね。

 ただ、言葉遊びなどを入れて全体的に重くなりすぎないようにはしています。それも作詞におけるバランスですね。そういうところが、マカロニえんぴつの歌のちょっと皮肉めいたニヒルな良さにつながっているのかなと思ってます。

 ―そうして完成したミニアルバム「LiKE」はどんな作品か。

 はっとり 分かる人には分かるオマージュをやったり、「何々みたい」というLiKEがいろいろ詰まっているアルバムです。

 僕らはその入り口を大事にしていて、何かに例えることを批判する人もいるけど、小さい子どもが雲を見て、何でできているかも、何で浮いてるかも分からないけど、「綿あめみたい」って例えて安心することってあるじゃないですか。

 だから僕らは「何かみたい」で全然構わないんです。そうやって聞いてもらえば、5曲全部の中に僕たちにしか出せないマカロック節が絶対ある。聞けば聞くほどグッとくるような発見がある、かみ応えのあるアルバムだと思っています。

 ―3月30日に始まる初の全国ワンマンツアー「マカロックツアーvol.7 ~ライクからラヴへ、恋の直球ド真ん中ストライク初全国ワンマン篇~」はどんなライブになる?

 長谷川 「ライクからラヴへ」というタイトルですけど、僕たちの曲が本当にお客さんに届いて、伝えたかったことが伝わってるのかなということを確かめに回りたいと思っています。やってきたことが正解だったのか不安もあったので、お客さんの顔を見ることで安心したいです。

 はっとり アルバムはリリースしたけど、ツアーを1本回り終えないと確信できないんです。楽曲はツアーを終えた後に急成長するので、お客さんと会話しながらライクの曲たちがどう成長するのかが楽しみです。

 ワンマンツアーなので過去の曲もたくさんやりますし、久々にやったらこんな曲だったんだという意外な発見もあるでしょうし、お客さんの顔を見て安心しながら、新たな可能性もいろいろと見ていきたいですね。

 ―間もなく結成7周年。今後の目標は。

 長谷川 世間で認知されたという一つの証しとして、香川県の「モンスターバッシュ」をはじめとした大型フェスには出たいですね。そこから誰も知っているようなバンドになれればと思います。

 はっとり ちょっと変かもしれないですけど、バンドがどんなに駄目になった時でも、どんなに調子が良い時でも、リスナーがいなかったら始まらないので、ファンのために活動しているんだっていうことを絶対に忘れないということを目標にしたいです。

 ファンって報われない仲間で、理解者だと思っています。どんどんその規模が大きくなって、バンドを支えてくれる人が増えて、結果的に演奏できる場所のキャパシティーもステージからホール規模のツアーができるくらいになるのが今の目標ですね。

 ―徳島のファンにメッセージを。

 長谷川 スダチ酒もあるし、徳島ラーメンもおいしい。とにかく行ったことがないから行きたいね。

 はっとり 徳島でライブができてないことを申し訳なく思っています。香川でも愛媛でも、四国の人は音楽が純粋に好きなんだと感じたので、徳島でもきっと受け入れてくれると期待しています。ライブに行って、徳島ラーメンを食べられるように頑張るので、徳島の皆さんも応援よろしくお願いします。

■マカロニえんぴつ 4th mini album 「LiKE」
 発売日:2019.02.13
 価格:¥1389(税抜)
 1.ワンルームデイト
 2.トリコになれ
 3.ブルーベリー・ナイツ
 4.働く女
​ 5.STAY with ME

■マカロックツアーvol.7 ~ライクからラヴへ、恋の直球ド真ん中ストライク初全国ワンマン篇~
03.30 SAT @広島 BACK BEAT ※SOLD OUT(終了)
03.31 SUN @福岡 Queblick ※SOLD OUT(終了)
04.05 FRI @金沢 vanvanV4 ※SOLD OUT(終了)
04.06 SAT @新潟 GOLDEN PIGS BLACK (終了)
04.12 FRI @札幌 COLONY (終了)
04.14 SUN @仙台 enn2nd (終了)
04.20 SAT @名古屋 APOLLO BASE ※SOLD OUT
04.21 SUN @大阪 MUSIC club JANUS ※SOLD OUT
04.23 TUE @高松 TOONICE ※SOLD OUT
04.25 THU @渋谷WWWX(追加公演) ※SOLD OUT
04.29 MON @大阪Music Club JANUS(追加公演) ※SOLD OUT
05.12 SUN @東京 LIQUIDROOM ※SOLD OUT