川面に散った花びらが渦を巻き、ピンクの筋を描いて流れていく。はかなくも美しい光景=吉野川市美郷
 

 今年の桜は開花時期に冷え込みが続いた影響からか開花するまで時間がかかり、満開までの期間も10日と長かった。徳島地方気象台によると、開花は3月28日、満開は1953年に観測を始めてから3番目に遅い4月7日となった。

 日本には約600種類の桜があるといわれるが「開花」や「満開」がニュースになる桜はソメイヨシノである。江戸時代に生まれた園芸品種で、最初の1本から接ぎ木や挿し木によって増やされたクローンだと研究で判明している。

 葉が出る前に一斉に咲き、一斉に散る。花が多く、花びらの淡いピンクが好まれたこともあり、明治期以降盛んに植樹され、全国の桜の8割を占めたという。咲く姿も見事だが、散りざまも人の人生観に例えられるほど美しい。

 散り始めた桜を見るため吉野川市美郷にある桜並木を訪ねた。並木の下にある東山谷川の川面に花びらが落ちて花筏となり、流れていくさまを見ることのできる名所である。

 風が吹くたびに花びらが水面へと舞い散り、流れに乗って下流へ向かう。よどみでは花びらがたまり、花筏になる。長時間露光で撮影すると流れの中で花びらが渦を巻き、美しい模様を作り出した。