英国の外相を務めた政治家ミリバンド氏が米紙に寄稿し、こう述べている。「世界は米国に見識ある指導力を求めている」。毀誉褒貶(きよほうへん)はあるにせよ、戦後、一貫して自由と民主主義の守護者だった超大国への期待を集約したような一文だ

 就任以来、矢継ぎ早に大統領令を出すトランプ氏。メキシコ国境への壁の建設、難民の受け入れ凍結や一部のイスラム教国出身者の90日間入国禁止など、よもやの公約が次々と現実に立ち現れ、行く末を悲観している人も少なくはなかろう

 迫害や貧困から逃れ、自由を求めてやってきた移民が築いた国、アメリカ。メイフラワー号の到着から約400年。自由や民主主義を大事にするアメリカ的な価値観が崩れゆく様を、私たちは今、見せつけられているのかもしれない

 見識があるとは思えない自由主義世界のリーダーの振る舞いは、とても支持できない。とはいえ、わが国も相応の責任を果たしているか。見識のある態度は、超大国だけに求められているわけでもあるまい

 法務省によると、2015年に日本が難民として認定したのは、わずか27人。見えない壁ならいいといった法はないはずだ

 開かれた門を閉ざそうという国が非難されるなら、はなから門を閉ざしている国も非難に値する。そう言われても仕方がない、世界3位の経済大国である。