さて、立春。ここから一つ、と唱歌集を繰る。「早春賦(そうしゅんふ)」。良さそうだが、これほど鮮やかに季節を切り取られると…。<春は名のみの風の寒さや>。その通り、と感心するばかりで、拙筆は行き先に惑う

 なので、再びページをめくる。季節は戻って「冬景色」。<さ霧消ゆる湊江の舟に白し、朝の霜>。こちらは小学校で習った覚えがある。<げに小春日>の「げ~に」って何。長い間謎だった

 「まことに」らしいぞ、なるほど、となったのは高校生になって。受験の声が聞こえてきた頃だったか。もっとも、歌詞の続きが思い出せず、謎もすっきりとは解決しなかった

 今、改めて読むと、「湊江(みなとえ)」も分かるようで分からない。若者の読解力が落ちてきたというが、若者だけか、と思いつつ辞書を引いた。「港のある入り江」とある。地名ではなかった。疑問はさらに疑問を呼ぶ。いちいち挙げればきりがないので、ここは、唱歌も難しいものだ、ということにしてやり過ごそう

 何をのんきなことを、と受験生なら言うだろう。春はいまだ名のみ。難問山積、風の寒さや。けれども、どこかの誰かのように天下るわけにもいかないのだから、正面からぶつかっていくほかはない

 さあ、ここまで来たのである。くれぐれも体調の管理は万全に。<春の海まつすぐ行けば見える筈>大牧広。