和歌に沓冠という技法がある。表現する語句を、各句の上下に1字ずつ折り込んで表す。よく知られているのが、鎌倉の歌人・頓阿と兼好法師が交わしたとされる歌である

 法師から。<よも涼し ねざめのかりほ た枕も ま袖も秋に へだてなきかぜ>。目覚めたら秋風、といったほどの意味だが、真意は別にある

 沓冠の規則に従って、初句から下へ、折り返して初句へ10字を拾うと、「よねたまへ ぜにもほし」。米をくれ、銭も欲しい、となる。頓阿はこう返したという。<よるもうし ねたくわがせこ はては来ず なほざりにだに しばしとひませ>。「米はなし、銭少し」

 「狂犬」の異名を持つマティス米国防長官が来日した。稲田朋美防衛相との共同会見では、案じられた米軍駐留経費負担に触れず、「日本は他国が見習うべきお手本だ」と持ち上げた。上下になぞれば、これからも気前よくよろしく、との含意が浮かんできそうである

 10日の日米首脳会談では、政府はインフラ投資などで米国を中心に70万人の雇用を創出し、約50兆円の市場を生み出す経済協力を提案する方針のようだ。トランプ砲、うてば響く

 法師は「徒然草」で、友達にする第1は、物をくれる人とする。続いて医者、賢い人。なりたいのは第2、第3。物あげる友が、真の友になり得るだろうか。