偽のニュースにも需要と供給があるようで、米大統領選時は、概してトランプ氏の支持者が喜ぶ記事の相場が高かったらしい
「オハイオ州で不正な『クリントン票』用紙数万枚発見」の偽の速報を流した若者の“手口”を、米紙が報じていた。それによると、こんな具合である
偽のニュースサイトを開設。「現場写真」をネットで見繕い、それらしい偽の記事を書く。時間にして15分。それが会員制交流サイト(SNS)を通じて拡散し、サイト閲覧者は急増、数日で約56万円の広告収入を得たという。「驚いた。こんな簡単にみんな信じるなんて」とは当人の弁
「フェイクニュース」が各国で問題になっている。パキスタンでは昨年、偽のニュースに反応した国防相が、イスラエルへの核攻撃を警告する騒ぎがあった。日本でも熊本地震の際、動物園からライオンが逃げ出したとのデマが広がったことは記憶に新しい
SNSで知人から回ってきたニュースなら、それほど疑いも持たない。善意で拡散に加担してしまう。根も葉もない事実が、生まれて育ち、現実に影響を及ぼすとしたら怖い話だ
うその記事で簡単にもうかる仕組みが変わらない限り、フェイクニュースは量産され続けよう。取材や執筆に時間をかけた、良質な記事が駆逐されていく。そんな事態が、既に始まっている。