東日本大震災から6年が過ぎた。「忘れない」と言う。それなら、どれほどの備えができているか。家具の固定は、食料は…。南海トラフ巨大地震の「災前」を生きる私たちである

 その時が来れば、どう逃げる、どう連絡を取り合う。いつ家族と話し合っただろうか。子どもは成長し、親は年をとる。去年と今年、思いのほか変わっている。さらに年度替わりを控えて、進学や就職、転勤と時をおかずに環境は変わる。うかつなことに、きのう気づいた

 「忘れたくても、忘れらんねえべ」。妻と父、おいを亡くした福島県南相馬市の大工大久定光さんの言葉である。震災の死者は1万5893人、行方不明者は2553人、避難後の体調悪化などによる震災関連死は3523人

 震災や東京電力福島第1原発事故で被災し、避難生活を余儀なくされている人は依然、約12万3千人にも上る。「忘れない」には当然、フクシマも含まれているはずである。事故原発の廃炉の道筋も見えないのに、政府は再稼働を急ぐ

 「忘れない」は具体的な行動を促す言葉でもある。「残った俺たちが健康にきちんと生きていくこと」と大久さんは語った。それなら、私たちは-

 地震に津波、風水害に火山。災害と無縁の場所はどこにもない。「本当に忘れていないか」。天上から無数の声が降り注いでいる。