日本にとって、スリランカは「恩人」に値する存在である。きっかけとなったのは、ブッダの「憎悪は憎悪によってやまず、慈愛によってやむ」という言葉 1951年のサンフランシスコ講和会議で、演説したジャヤワルデネ元大統領が引用した。一切の賠償請求の権利を放棄し、日本を国際社会の一員として受け入れるよう訴えたのである。演説は、厳しい制裁を構えていた戦勝国の方針を突き動かした

 本県も縁が深い。牟岐町の正観寺は留学僧を受け入れるなど、仏教交流を続けてきたことで知られる。23年前には、寺の仲介が鍵となって、スリランカから旧徳島市立動物園へのセイロンゾウ2頭の寄贈が実現した

 それほど恩義のある国だから、悲しくて仕方がない。スリランカの最大都市コロンボなどにある複数のキリスト教会や高級ホテルで、次々と爆発テロが起きた。死者は200人を超える。イスラム過激派が関与し、キリスト教徒や外国人を標的とした可能性が高い

 捜査当局は既に犯行一味の摘発に乗り出したようだ。詳細は伝わっていないが、背景に大きな憎悪があるのは間違いない

 テロで事態が解決したことなどないし、これからもありえないことである。テロはテロを生むだけだ。かつて元大統領が日本のために発信したブッダの言葉を、いま改めてかみしめたい。