キリンはどんな動物か、と尋ねられ、さてどう答えるか。十中八九、首の長さに触れるのではないか。まず足の長さを挙げる人は少なかろう
 
 嘆かわしいことに、教育勅語を巡り、足の説明で済ます政治家がいる。「いいところもある」式の言い方に、どれほどの意味があるだろうか
 
 親を大切に、兄弟姉妹、みんな仲良く・・・と並ぶ徳目の多くは教育勅語を持ち出すまでもない。道徳の教科書で十分だ。一読すれば分かるが、明治天皇の名で発布され「朕(ちん)惟(おも)フニ」で始まる勅語の眼目は、そこにはない
 
 「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」。緊急時には臣民として、お国のために身をささげなさい-。勅語の特徴はこの一文に代表される。だからこそ軍国主義教育の柱となり、戦後、国会が「排除」「失効確認」をしたのである。勅語を云々(うんぬん)するなら避けて通れない
 
 教育勅語についての政府答弁書が波紋を広げている。「わが国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切」とした上で、憲法や教育基本法に反しない形での教材使用は否定しない。字義通りなら、さほど問題はなさそうで、「驚愕(きょうがく)した」との野党の反応は少し大げさな気もする
 
 ただし「いいところもある」式の発言が続く以上、政府答弁書は回りくどい形で教育勅語を肯定している、と勘ぐられても、仕方あるまい。