眠りから覚め、降り注ぐ陽光を目いっぱい受けて、芽吹き始めた春の山。笑うがごとく、と中国の画家は記している。桜もおおかた盛りを過ぎて、緑滴る夏まで、今まさにどっぷりと春である

 画家の名は郭煕(かくき)。11世紀、北宋の人。「山笑ふ」「山滴る」「山粧(よそお)ふ」「山眠る」。その一文から季語が四つも生まれた。さすがに山水画の大家だけあって、春夏秋冬の自然を、絵や文に写す技量は確かだ

 当方も春夏秋冬、食い意地だけは確かだ。このところは、野趣に富む山菜で、舌も胃袋も笑わせっぱなしである。これに阿波牛、阿波の金時豚、阿波尾鶏、伊勢エビにアワビ、ブリの丼にウツボのにぎりずしとくれば・・・。ナマコのつかみ取り。えっ、これはどうだろうか

 関連行事の宣伝となって恐縮だが、きょう、あすと徳島市の新町川公園一帯で開く「はな・はる・フェスタ」も20年の節目を迎え、グルメ企画を一新した。県産品が盛りだくさん。限りある財布と胃袋が恨めしくなること請け合いだ

 恒例の春の阿波踊りは、今年は夜も。さらに美波町赤松地区の吹筒花火が値千金の春の宵を彩る

 「幸せはいつも3月(旧暦、今なら4月)花のころ、使って減らぬ金10両」とは江戸の人。確かに確かに、この上ない時候である。ぜひ、お出掛けを。<故郷(ふるさと)やどちらを見ても山笑ふ>正岡子規。